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AYA世代と遺伝性乳癌卵巣癌症候群

[2024.07.20]

みなさま、こんにちは。

実は今日、私の誕生日で44歳になりました。

もうアラフォーとは言えず、ミドフォー(middle forties)というべき年齢ですね。

 

さて、年齢と乳がんの話題としては、AYA世代という言葉をご存じでしょうか。AYAとはAdolescent and Young Adultの略語で日本語では“思春期・若年成人”という意味で、AYA世代とは15歳~39歳の方を指します。このAYA世代は基本的には健康でほとんど病院のお世話になることがない年代かと思いますが、AYA世代にがんの診断をうける患者さんが年間約2万人いるといわれており、年齢別では30代の方が多く約16300人です。また、その30代のAYA世代のがんの種類としては乳がんが一番多いです。

 

今回の乳がん学会では、前職場である大阪医療センターでのAYA世代乳がん患者さんと遺伝性乳癌卵巣癌症候群についてポスター発表しました。

よく、若いうちに癌になると予後が悪いと迷信のように言われていますが、大阪医療センターのAYA世代乳癌患者さんの予後は通常の乳がん患者さんと変わりはなかったです。若い方は、他の併存疾患がなく、内臓機能も正常な方が多いため、乳がんに必要な治療をきちんと受けられており、大きな副作用もなく経過される方が多いからとも推測されます。ただ、AYA世代乳がんは検診発見率が低く、診断時のステージが進行している傾向や、悪性度の高い癌が多い傾向にあると報告されており、早期発見・早期治療をしないと予後不良になる可能性があります。AYA世代乳癌に関しては、その後の長期のフォローアップの結果が待たれるところです。

また、遺伝性乳癌卵巣癌症候群という、生まれ持った遺伝子異常によって乳癌や卵巣癌になりやすい方がいるのですが、その特徴の一つとして若年発症があります。日本でも2020年4月から遺伝性乳癌卵巣癌症候群を調べる遺伝子検査が保険適応となり、45歳以下で乳癌を発症された方はこの検査の適応となっています。

 

AYA世代で乳がんを発症された方は、その検査をして遺伝性乳癌卵巣癌症候群ではないかどうか調べることができますが、保険適応前に治療が完了されている方は、検査を受けていない方が多い現状でした。

 

遺伝性乳癌卵巣癌症候群かどうかを知ることは、ご自身の病気のリスクを知り、それに対し対策をとることができるため、重要なことであると考えますが、遺伝子情報は究極の個人情報であり、それによる差別や偏見などがおこるリスクや、正しい情報を得ることが難しいことや、遺伝カウンセリングなどのサポート体制や、リスクに対処する方法の整備がまだまだ不十分であるという問題点があるかと思います。

 

現在、日本では40歳からが対策型乳がん検診の対象になっており市町村の補助のもと2年に1回はマンモグラフィ検診の受診ができますが、AYA世代の方は対象外です。これに関しては、今後は様々な情報が集積されていき、もう少しリスクに応じた検診体制などの構築も必要な世の中になっていくのではないかなと思います。

 

当院では、自費にはなりますが、すべての年代の方に乳がん検診を受けていただけます。年齢やリスクに応じて、超音波検査だけやマンモグラフィと超音波検査を組み合わせた検査などご相談してから受けていただけますので、お気軽にご相談ください。

スタッフの皆様がこんな素敵なケーキでお祝いしてくれました。

ありがとうございます。

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