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切らない乳がん治療

[2024.09.10]

みなさま、こんにちは。あっという間に9月になってしまいました。

まだまだ、暑い毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか?

少し、院長ブログをさぼっていました。すみません。

また、皆様が興味をもっていただけるような話題を提供できればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 

今回は、ラジオ波焼灼療法について、書いてみたいと思います。

ラジオ波焼灼療法って何?と思われる方も多いと思いますが、簡単に言うと、癌を切らずに電熱線で串刺しにして癌を焼いてやっつけるとうい治療法になります。

なので、切らない乳がん治療とタイトルにさせていただきました。

 

もう少し、医学的にきちんと説明すると、

ラジオ波焼灼療法とは、もともとは肝臓がんに対し行われていた、腫瘍に電熱線を穿刺してその先端から472キロヘルツの高周波の電流を発生させることで針の周辺に熱を発生させ、腫瘍を壊死(熱凝固)させる治療法になります。

 

2022 年に肺がん、腎がん、悪性⾻軟部腫瘍、類⾻⾻腫(良性)に対しても適応拡⼤となり、2023 年12⽉1⽇に乳癌に対しても保険適⽤が拡大されました。

 

私は、りんくう総合医療センター時代にラジオ波焼灼療法の第一人者の一人である位藤先生(現 近畿大学病院 乳腺内分泌外科 准教授)の元で、ラジオ波焼灼療法を経験させていただいており、おそらく、現時点では数ある乳腺クリニックの院長の中では、ラジオ波焼灼療法に少し詳しいのではないかと自負しております。

 

よく、患者さんに乳がんの告知をすると、『乳房は切らないとダメでしょうか?』と聞かれることがありました。今までは、根治を目指すためには、やはり乳房を切除する手術はどうしても必要ですとご説明していました。部分切除や、再建手術が保険適応になっても、やはり、女性にとって乳房にメスを入れること、元通りの形には戻らないことは、つらいことであり、なかには受け入れがたく治療から逃げ出してしまう人もいました。

しかし、ラジオ波焼灼療法は基本的には電熱線を穿刺するために、多少の傷は負いますが、手術の傷に比べたら、ごく小さく、また乳房の変形も少ないです。

このような治療が保険適応となったことで、また一つ患者さんの選択肢が増えたことは、大変すばらしいことだなと思います。

ただし、どうしてもすべての患者さんに適応があるわけではありません。

ラジオ波焼灼療法の適格基準と適応除外基準を乳癌学会が発表している【ラジオ波焼灼術(RFA)早期乳癌適正使⽤指針】から抜粋して、以下に提示します。

適格基準

  • 針⽣検で組織学的に通常型の原発性乳管癌であることが証明されていること。
  • 腫瘍の⼤きさが、造影 MRI 検査、超⾳波検査を含む術前画像検査すべてにおいて⻑径

1.5cm 以下の単発限局性病変であること。

  • 癌の⽪膚浸潤や⽪膚所⾒(Delle)が認められないこと。
  • 今回の乳癌に対する前治療(化学療法・ホルモン療法・放射線治療など)の既往がないこと。
  • 年齢が 20 歳以上の⼥性である。
  • 術後放射線治療が実施可能なこと。
  • ⼿術、全⾝⿇酔に耐えうる臓器機能を有すること。
  • 術前診断にて腋窩リンパ節転移がないこと。

 

適応除外基準

  • 妊娠中、もしくは妊娠している可能性がある症例。
  • ⼼臓ペースメーカまたは植込み型除細動器を留置している症例。
  • 局所の活動性の炎症や感染を合併している症例。
  • 重篤な⼼疾患、脳疾患を有している症例。
  • ⼈⼯⾻等のインプラントにより、対極板を貼付できず、RFA が適切でない症例
  • 抗⾎⼩板療法、抗凝固療法等、⽌⾎困難が予想される症例。
  • 画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる症例
  • マンモグラフィ(MMG)で広範な⽯灰化を認める症例。
  • 温存乳房内再発を含む異時性の同側乳癌症例。
  • 他臓器転移を認める症例。

 

簡単に言えば、今まで大きな持病もなく、早期の乳がんの方には、適応される可能性がありますので、もしも、自分がこの条件に合っているかどうかわからない場合は主治医の先生に相談してみましょう。ただし、どこの病院でもできるわけではないことと、あくまで手術の代わりとなるため、その他の放射線治療や薬物療法の代わりになるわけではありませんので、治療の一部としてとらえていただき、その他の治療もトータルできちんと受けられることをおすすめいたします。

もちろん、当院では、実際にラジオ波焼灼療法を施行できるわけではありませんが、正しい情報を患者様にこれからもアップデートして伝えていきたいなと考えております。ご相談には乗ることは可能ですので、気になる方はお問合せください。

                             

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