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トリプルネガティブ乳がんに新たな治療薬が登場!

[2024.10.18]

皆様、こんにちは。

もう10月も半ばというのにまだまだ、暑い毎日ですね。泉州地域はお祭りも一通り終了し、いよいよ秋本番というところでしょうか。

 

さて、今日は新しい治療薬のお話です。乳がんと一言で言っても、いろんなタイプの乳がんがあるのをご存じでしょうか?乳がんの分類で最近よく用いられるものにサブタイプ分類というものがあります。これは、乳がんにエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体というホルモン受容体が存在するタイプなのか、また、HER2受容体が発現しているタイプかどうか、また細胞増殖能の指標になるKi67タンパクの発現が多いかどうかということから、大まかに乳がんをルミナルAタイプ、ルミナルBタイプ、ルミナルHER2タイプ、HER2タイプ、トリプルネガティブタイプと分類されることが多いです。

これらの受容体は薬物感受性と関係しており、ホルモン受容体陽性乳がんはホルモン治療の効果が高く、HER2受容体陽性乳がんは抗がん剤と抗HER2薬との組み合わせによる治療効果が高いことがわかっており、このサブタイプ分類によって、薬物療法の組み合わせを決めて治療が行われることが一般的です。

 

サブタイプ

ホルモン受容体

HER2

主な治療薬

ルミナルA

陽性

陰性かつKi67低値

ホルモン療法薬

(+CDK4/6阻害薬)

抗がん剤(必要に応じて)

ルミナルB

陽性

陰性かつKi67高値

ホルモン療法薬

(+CDK4/6阻害薬)

抗がん剤(必要に応じて)

ルミナルHER2

陽性

陽性

ホルモン療法薬

抗がん剤+抗HER2薬

HER2

陰性

陽性

抗がん剤+抗HER2薬

トリプルネガティブ

陰性

陰性

抗がん剤

(+免疫チェックポイント阻害薬)

 

ただし、トリプルネガティブ乳がんはホルモン受容体もなく、HER2受容体も発現が少ない、または、ないタイプのことを指しますので、特にターゲットとなる受容体がないため、長い間、殺細胞性抗がん剤(いわゆるターゲットを絞らず、細胞の分裂や増殖を阻害することで効果を発揮する薬剤)のみが治療の選択肢でした。

また、トリプルネガティブ乳がんは一般的に悪性度が高く、他のタイプと比べて予後が不良であると言われています。

そんなトリプルネガティブ乳がんに対しても、最近では新しい治療薬が登場してきており、その代表的なものとして免疫チェックポイント阻害薬があります。

乳がんに適応がある免疫チェックポイント阻害薬としてはペムブロリズマブ(キイトルーダ®)、アテゾリズマブ(テセントリク®)などが登場し、トリプルネガティブ乳がんの予後改善が期待されているところです。

さらに、今回、あらたな機序のTROPタンパクを標的とした抗体薬物複合体であるサシツズマブ ゴビテカン(トロデルビ®)が9月に承認されました。

基本的には2 つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者さんが対象となりますので、現在再発し、治療薬の選択肢が少なくなってきている方の新たな希望になればいいなと思います。

クリニックを開業し、なかなか癌の薬物療法の診療を行うことはなくなりましたが、新たな治療薬がどんどん出てきて、乳癌治療もアップデートしていきますので、自分の中の知識もアンテナをはり、アップデートして、正しい情報提供ができるようにしていきたいと思います。

 

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