閉経期の乳房痛についてー更年期に多い症状と受診のタイミングー
みなさま、こんにちは。くみこ乳腺クリニックの院長の岡田です。
まずは近況のご報告を…。
7月に1周年のお礼を更新してから、すっかりブログの更新が滞ってしまっていました。
日々の診療やその他の業務などが続き、ゆっくり文章を書く余裕がありませんでした。
このブログを見てくださっている方がどれくらいいるかはわかりませんが、 外来で患者さんとお話ししていると
「これはブログでお伝えしたいな」と思うことが本当に多く、
今日からまた少しずつ発信を再開していきたいと思います。
まずは、日々の外来で特に多いご相談が 乳房の痛み(乳房痛) です。
今回は、この『乳房痛』をテーマにお話しさせていただきます。
実は乳房痛は乳腺外来で最も多い受診理由のひとつで、
特に 閉経期(更年期)の40〜50代 の女性にとてもよく見られます。
今回はその「閉経期の乳房痛」について、
わかりやすくお話ししたいと思います。
■ 閉経期の乳房痛はなぜ起こるの?
閉経の前後は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが大きく揺れ動く時期です。
そのため乳腺がその影響を受けやすく、
胸が張る
チクチクと痛む
重だるさが続く
脇や胸のあたりに違和感がある
といった症状が出やすくなります。
これは決して珍しいものではなく、
閉経期の自然なホルモン変化によって起こることが多い症状です。
■ 「乳房痛=乳がん」ではありません
ただし、検診を受けていない場合は注意が必要です
患者さんからよくいただく質問に
「乳房痛は乳がんのサインですか?」
というものがあります。
結論として、
乳房痛と乳がんは無関係であることがほとんど です。
乳がんの多くは痛みではなく、しこりなどで見つかります。
しかし、ここで大切なのは、
▶ 乳房痛をきっかけに乳がんが発見されることも“ゼロではない”という点です。
そのため、以下に当てはまる方は放置せず受診をおすすめします。
■ こんな場合は受診をしてください
✔ 1年以上、乳がん検診を受けていない
(痛みが出ているこのタイミングは、検査の良いきっかけになります)
✔ しこりを感じる、皮膚のへこみ・赤み・変化がある
✔ 片側だけ、一点だけが強く痛い
✔ 痛みが数週間続いて心配
✔ ご家族に乳がんの方がいる
乳がんは早期発見がとても大切です。
「痛みのついでに検査を受けておいてよかった」というケースも多くあります。
■ 検査で異常がなければ、心配しすぎる必要はありません
乳房痛で来院される多くの方が、
マンモグラフィや乳腺エコーの検査で異常がありません。
その場合は、
▶ ホルモン変動による生理的な乳房痛であることがほとんどです。
このタイプの乳房痛は、
強くなったり軽くなったりを繰り返しながら
時間とともに自然に治まっていき
閉経が進むと消えていくことが多い
という特徴があります。
命に関わるものではなく、
検査で問題がなければ安心して大丈夫です。
■ 乳房痛とうまく付き合うために
閉経期の乳房痛は、多くの女性が経験します。
必要以上に不安になる必要はありませんが、
検診を受けていない・気になる症状がある時は早めの受診をおすすめします。
当院では、
痛みの原因の評価、必要な画像検査、セルフケアのアドバイスなど、
患者さんが安心して過ごせるようサポートしています。
■ 最後に
年末の慌ただしい時期に入り、インフルエンザも流行しています。
どうか体調に気をつけてお過ごしください。
これからも、乳がんや乳腺のこと、検診のことなど、
患者さんのお役に立てる情報をコツコツ更新していきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
