2026年8月から高額療養費制度が変わりました ~乳がん治療中の方にも知ってほしいこと~
皆様、こんにちは。
くみこ乳腺クリニック 院長の岡田です。
長かった子どもたちの夏休みも、ようやく終わりましたね。
毎日の昼ごはんに、宿題に、遊びの予定に……。
世のお母さん、お父さんたちは、少しホッとされている頃でしょうか?
院長もこの夏休みは何かとバタバタしており、気がつけば、またブログをしばらくサボってしまいました(笑)。
8月はクリニックも少しお休みをいただき、家族で四国へ旅行に行ってきました。
そして久しぶりに、院長の「第二の故郷」である徳島にも行ってきました!
実は院長は徳島大学出身です。
学生時代を過ごした徳島を久しぶりに訪れ、卒業以来となる阿波踊りを見ることができました。
「踊る阿呆に見る阿呆♪」のあの独特のリズムと熱気。
久しぶりの徳島、そして家族との旅行で、しっかりリフレッシュすることができました。
また気持ちを新たに、診療を頑張りたいと思います。
さて、そんな8月ですが――
2026年8月から「高額療養費制度」が変更になったことをご存じでしょうか?
乳がんの治療とも関係の深い制度ですので、今回は少しご紹介したいと思います。
そもそも「高額療養費制度」って?
病気の治療では、手術や入院、抗がん剤などによって、医療費が高額になることがあります。
例えば、3割負担の方でも、医療費が50万円かかれば、本来の自己負担は15万円です。
毎月これだけの医療費が必要になると、治療を続けられるのか心配になりますよね。
そこで、1か月に支払う医療費が一定の金額を超えた場合に、自己負担が大きくなりすぎないようにしてくれるのが「高額療養費制度」です。
自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。
2026年8月から何が変わったの?
今回の変更では、所得に応じて1か月あたりの自己負担上限額が引き上げられました。
つまり、これまでと同じ治療を受けていても、患者さんによっては月々の負担が少し増えることになります。
例えば70歳未満、年収約370万~770万円の所得区分の方で、1か月の医療費が50万円程度だった場合、自己負担上限額はこれまでの約8万2千円から、8月以降は約8万8千円となり、月に5~6千円程度増えるイメージです。
「毎月それだけ増えるの?」
と思われるかもしれません。
ただし、長期間にわたって高額な治療を受ける方については、負担が大きくなりすぎないための仕組みがあります。
長く治療を続ける方には「多数回該当」があります
高額療養費制度には以前から、「多数回該当」という仕組みがあります。
直近12か月の間に高額療養費に3回以上該当すると、4回目以降はさらに低い自己負担上限額が適用される制度です。
例えば、70歳未満で年収約370万~770万円の所得区分では、多数回該当になると4回目以降の自己負担上限は44,400円です。
この多数回該当の上限額は、今回の見直しでも原則として維持されています。
乳がんでは、手術だけでなく、その後の薬物療法が長期間続くことがあります。
例えば、術後にベージニオを2年間内服する患者さんもいらっしゃいます。
ベージニオ150mgを1日2回内服する場合、薬剤費だけでも1か月約48万円。診察や採血などを含めると、医療費が月50万円程度になることもあります。
このように毎月高額な治療を続ける場合には、多数回該当によって4回目以降の負担が抑えられる可能性があります。
さらに新しく「年間上限」ができました
そして今回の変更でもう一つ大きなポイントが、「年間上限」が新しく設けられたことです。
これまでは基本的に「1か月あたり、いくらまで」という考え方でしたが、2026年8月からは、8月から翌年7月までの1年間についても自己負担の上限が設けられました。
つまり今回の変更は、
「月々の負担は少し増える方がいる一方、長期間にわたって高額な治療を続ける方の負担が大きくなりすぎないような仕組みも設けられた」
と考えると、わかりやすいと思います。
乳がん治療は「長く続く」ことがあります
乳がんは、手術をして終わりという病気ではありません。
抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法、分子標的薬など、病状によっては治療が長期間続くことがあります。
だからこそ、治療方法だけでなく、「治療を続けるためのお金の制度」を知っておくことも大切だと思います。
ただ、高額療養費制度は年齢や所得、加入している健康保険、治療状況などによって実際の自己負担額が異なり、なかなか複雑な制度です。
医療費について具体的に不安がある場合には、治療を受けている病院の「がん相談支援センター」や医療ソーシャルワーカー(MSW)などに相談してみてください。
高額療養費制度だけでなく、利用できるさまざまな支援制度について相談に乗ってもらえます。
今回の制度変更で負担が増える方がいるのは事実ですが、一方で長く治療を続ける方への配慮もされています。
制度を上手に利用しながら、経済的な不安のために必要な治療を諦めることがないようにしていただければと思います。
まだまだ暑い日が続きそうです。
夏の疲れも出てくる頃ですので、皆様も体調には気をつけてお過ごしください。
