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高齢者の乳がんと治療について

[2026.02.18]

みなさんこんにちは。
くみこ乳腺クリニック院長の岡田です。

今回は高齢者の乳がんと治療について書いてみたいと思います。

乳がんというと、「若い女性の病気」というイメージを持たれている方が多いように感じます。確かに30〜40代の乳がんは話題になることも多く、印象に残りやすい年代です。

しかし実際のデータをみると少し違った姿が見えてきます。

日本乳癌学会の2023年の全国登録データでは、

・40歳未満の患者さんは全体の約3.4%
・70歳以上の患者さんは全体の約30%

を占めています。

つまり乳がんは決して若い方だけの病気ではなく、中高年から高齢の方にとって非常に身近な病気と言えます。

高齢者の乳がん治療でまず大切な考え方

高齢者の乳がん治療でよく話題になるのが、「どこまで治療をするべきか」という問題です。

乳がんの基本的な治療は次の三本柱です。

・手術
・放射線治療
・薬物療法

ただし高齢者では、年齢だけで治療の可否を決めることはできません。

実際には

・体力
・持病の状態
・内臓機能
・日常生活の自立度
・通院の負担

などを総合的にみて判断します。

同じ80歳でも、元気に生活されている方と介助が必要な方では、治療の選択は大きく変わります。

手術について

乳がん治療の中心は、今も昔も手術です。

現在は

・体への負担が少ない手術方法
・安全な麻酔管理
・短期間の入院

が確立しており、体力や内臓機能が保たれていれば高齢でも手術が可能な方は多くおられます。

実際の診療でも、80代以上で手術を受け、その後元気に生活されている方は珍しくありません。

手術は体力があれば最も確実な治療であり、高齢であっても重要な選択肢となります。

放射線治療について

乳房温存手術のあとに行う放射線治療は、再発を予防する効果が確実にある治療です。

一方で高齢者では、

・ホルモンが効くタイプ
・早期乳がん
・リンパ節転移がない

といった条件がそろう場合、通院負担などを考慮し省略が選択肢になることもあります。

再発予防効果と生活への影響を踏まえ、個々の状況に応じて判断します。

ホルモン療法について

高齢者の乳がんでは、ホルモンが効くタイプが多く、内服によるホルモン療法が治療の中心になることがよくあります。

ホルモン療法は

・体への負担が比較的少ない
・通院の負担が軽い
・再発予防効果が高い

という特徴があり、高齢者でも行いやすい重要な治療です。

抗がん剤治療について

抗がん剤は再発を減らす効果がありますが、高齢者では慎重な判断が必要になります。

副作用として

・体力低下
・免疫低下による感染症
・食欲不振やその他、様々な副作用
・副作用によるQOLの低下やADLの低下

などがあり、体への影響が大きくなることがあります。

そのため現在の医療では、抗がん剤を検討する際にまず老年医学的評価(GA)を行い、体力や生活状態を詳しく評価します。

さらに、CARG-BCスコアという指標を用いて、重い副作用が起こる可能性を事前に予測することもできます。

これにより、安全に治療できるかどうかや、どの程度の強さの治療が適切かをより具体的に判断できるようになっています。

高齢者の乳がん治療で大切なこと

高齢者の治療では、

・治療の効果
・生活の質
・通院の負担
・ご本人の希望

を含めたバランスがとても重要になります。

年齢だけで一律に判断するのではなく、その方の状態をしっかり評価し、最適な治療を一緒に考えることが大切です。

年齢だけであきらめる必要はありません

乳がんは若い方の病気というイメージがありますが、実際には中高年以降に多く発症します。

高齢でも適切な治療によって安心して生活を続けられる方は多くおられます。

年齢ではなく、その方の状態をみて納得できる治療を選ぶことが重要だと感じています。

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