災害と地域医療――乳腺クリニック院長として今、考えること
皆様こんにちは。くみこ乳腺クリニックの院長 岡田です。
まず初めに、7月28日に発生した令和8年熊本地震により、お亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様、そして今なお不安な日々を過ごされている皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く安心して暮らせる日常が戻ることを、心からお祈りしております。
先日参加した日本乳癌学会では、今年の学会長を務められた福島県立医科大学の佐治先生のもと、東日本大震災から15年という節目もあり、南相馬市立総合病院の先生の東日本大震災時の最前線病院での状況を講演で拝聴する機会がありました。
震災直後、病院は想像を絶する混乱の中にありました。物流が止まり、医療支援も十分に届かず、さらに原発事故が重なったことで、多くの職員が避難を余儀なくされました。
残った職員の方々は、自身も被災者でありながら、地域に残る住民の命と健康を守るために診療を続けられました。身体的な疲労だけでなく、精神的な負担も計り知れないものだったと思います。
それでも、「地域には医療が必要だから」という使命感で踏ん張り続けた姿勢に、深く心を打たれました。
日本に住んでいる以上、地震や台風、豪雨などの自然災害を完全に避けることはできません。
今回のお話を聞いて、「もし自分の地域で同じような災害が起こったら、クリニックとして何ができるのだろう」と、改めて考えさせられました。
開業医は病院ほど大きな医療資源を持っているわけではありません。しかし、地域に最も身近な医療機関だからこそ果たせる役割があります。
被災された方の体調管理や慢性疾患の継続診療、不安を抱える方の相談窓口になることなど、小さなことの積み重ねが地域を支える力になるのではないかと思います。
講演の中で特に印象に残った言葉がありました。
医療者もまた被災者である一方で、支援者にもなり得るということ。そして、人を支えるという役割を持つことが、自分自身が前を向いて生きる力や、復興への意欲につながるというお話です。
災害時には、自分や家族を守ることが最優先です。しかし、その先で地域を支える立場にもなれる。その考え方に、医療者としての責任と希望の両方を感じました。
普段の診療では、乳がんや甲状腺疾患の診療を通じて地域の皆様の健康を支えることが私たちの役割です。
そして、もしもの時にも地域医療を止めないために、日頃から備えを考え、できる準備を積み重ねていきたいと思います。
少し考えさせられる内容になりましたが、今回の講演は医療者としてだけでなく、一人の人間としても多くのことを学ぶ機会となりました。
皆様も、ぜひこの機会にご家庭で災害への備えについて話し合ってみてください。
