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エンハーツががん種横断で適応拡大|乳がんから広がるHER2標的治療の最新動向

[2026.03.25]

3月23日に、エンハーツに関するニュースを目にしました。HER2陽性の進行・再発の固形がんに対して、がん種を問わず適応が広がるという内容で、「ここまで広がるのか」と驚くと同時に、この薬の勢いを改めて感じました。

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)は、日本の製薬企業である第一三共が開発した抗がん剤で、抗体薬物複合体(ADC)という、がん細胞を狙って薬剤を届ける仕組みを持った治療薬です。2020年に日本で承認され、もともとは化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がんに対する治療薬としてスタートしました。

その後、この薬は乳がん領域にとどまらず、HER2陽性の胃がんや肺がんなどへと適応が広がり、さらに今回のニュースのように「HER2陽性であればがん種を問わず使える」という、いわゆるがん種横断的な適応へと進んできています。臓器ごとではなく、がんの性質そのものに着目して治療を選ぶ時代に変わってきていることを実感します。

乳がんの領域でも、この変化は非常に大きなものです。もともとはHER2陽性乳がんのみが対象でしたが、その後HER2低発現(HER2-low)乳がんへと適応が拡大し、さらに最近ではHER2超低発現(ultralow)と呼ばれる領域にまで広がっています。これまでHER2陰性として一括りにされていた患者さんの中にも、新たな治療の選択肢が生まれてきているという点で、非常に大きな進歩です。

エンハーツは効果の高い薬として注目されていますが、一方で注意すべき副作用として間質性肺疾患(ILD)があります。頻度は高くはないものの、適切に対応しないと重篤化する可能性があり、まれに命に関わることもあるため、早期発見と迅速な対応が重要とされています。実際の診療では、症状の変化に注意しながら慎重に使用されており、適切な管理のもとで治療が行われています。

治療の進歩はとても速く、これまでの常識が少しずつ変わってきています。ご自身の治療については、まずは主治医の先生とよくご相談いただくことが大切です。また、一般的な治療の考え方や最新の情報については、当院でもご説明可能ですので、気になることがあればお気軽にご相談ください。

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