【30代の乳がん検診】受けたほうがいい?遺伝や乳腺の特徴もふまえたやさしいお話
みなさんこんにちは。院長の岡田です。
当院は女性医師ということもあってか、比較的若い患者さんがたくさん来られます。
その中でも特に多いのが、
「30代でも乳がん検診を受けたほうがいいですか?」
というご相談です。
ネットやSNSで情報を調べるほど、
「若くても乳がんになると聞いて不安になった」
「検診を受けないといけない気がする」
そんなお気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
今日は、乳腺外科医の立場から、
30代の乳がんの起こりやすさ
若い方の乳房の特徴
検査方法の選び方
遺伝が関係する場合
について、できるだけわかりやすくお話しします。
30代の乳がんは「少ないけれど、ゼロではありません」
30代でも乳がんになる方は確かにいらっしゃいます。
ただ、乳がんになりやすい年齢は40代~60代の方で、
30代(特に30代前半)はまだ比較的少ない年代です。
下のグラフは2021年の乳がん罹患年齢のグラフです。これを見ていただくと
30代後半から少しずつ増え始め、40代になるとぐっと多くなることがお分かりいただけると思います。
そのため30代は、
「必要以上に心配しすぎなくてよい一方で、無関心でもいけない」
そんな年代と考えられています。
国の乳がん検診が40歳からなのには理由があります
市町村が行っている乳がん検診は、
40歳以上の方を対象に、2年に1回が基本です。
これは、40代以降になると
検診を受けることで命を守れる効果がはっきりしているからです。
30代については、検診受診が死亡率を下げるかは実証されておらず
「全員が同じように定期的な検診を受ける」
という考え方にはなっていません。
若い方に多い「高濃度乳腺」という乳房の特徴
30代の方の乳房には、
乳房の中で乳腺の割合が多い状態がよく見られます。
これを「高濃度乳腺」と呼びます。
高濃度乳腺では、
マンモグラフィ検査をしても白い部分が重なって見えやすく、
異常があっても分かりにくいことがあります。
マンモグラフィだけでなく、超音波検査(エコー)が役立つこともあります
高濃度乳腺の方では、
マンモグラフィだけでは分かりにくい場合があります。
そのため30代では、
-
マンモグラフィに超音波検査(エコー)を追加する
-
どちらか一つを選ぶ場合、超音波検査を選んだほうがよいケース
があることも、知っておいていただきたいポイントです。
超音波検査は、
乳腺が多い方でも中の様子を確認しやすく、
しこりの性質を見分けるのに役立つ検査です。
ただし、検査を増やせば必ず安心できる、というわけではなく、
必要以上の検査は、
かえって「経過観察」や「追加検査」が増えてしまうこともあります。
そのため、
年齢・乳腺の状態・不安の強さ・ご家族のことなどをふまえて、
その方に合った検査を選ぶことが大切です。
検診は、安心のためでも「不安が増える」ことがあります
また、多くの検診では
必ずしも乳腺を専門に診ている医師が結果を見ているとは限りません。
安全を第一に考えるため、
「大きな問題はなさそうだけれど、心配だから詳しく」
という判断になることもあります。
特に30代で高濃度乳腺の方では、
検診を受けたことで
かえって追加検査や心配事が増えてしまうこともあります。
30代でいちばん大切なのは「気づいたら、早めに相談すること」
30代の方にとって何より大切なのは、
普段から自分の胸に関心を持つことです。
-
いつもと違うしこり
-
片側だけの違和感
-
分泌物が出る
-
皮膚の変化やへこみ
こうした変化に気づいたら、
検診の時期を待たず、
早めに乳腺外科を受診してください。
症状がある場合は、年齢に関係なく
「検診」ではなく「診察」が必要です。
遺伝が関係する乳がんについても、少しだけ
乳がんの多くは遺伝とは関係ありませんが、
中には、遺伝が関係して乳がんや卵巣がんが起こりやすくなる体質があります。
それが
**「遺伝性乳癌卵巣癌症候群」**です。
この体質では、
-
若い年齢で乳がんを発症する
-
家族に乳がんや卵巣がんの方が複数いる
といった特徴がみられることがあります。
このような場合は、
一般的な30代の考え方とは別に、
早い段階から、より丁寧なチェックを考えることがあります。
当院が大切にしていること
当院では、年齢だけで一律に検査を決めることはせず、
乳腺の状態や不安の強さ、ご家族のことも含めてお話をうかがい、
マンモグラフィ・超音波検査のどちらが適しているか、
または組み合わせたほうがよいかを一緒に考えています。
「今は検査をしなくて大丈夫ですよ」とお伝えすることも、
「この検査を選びましょう」とご提案することもあります。
目的はただひとつ。
不安を増やさず、見逃さないことです。
初診のご案内
「検診を受けたほうがいいのか迷っている」
「マンモグラフィとエコー、どちらがいいの?」
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
当院の初診では、
いきなり検査をするのではなく、
まずはお話をうかがい、必要な検査を一緒に整理するところから始めています。
初めての方も、初診案内ページをご覧のうえご予約いただけます。
「相談だけでも大丈夫かな」と感じたときこそ、受診のタイミングです。
まとめ
30代の乳がん検診には、
「全員に当てはまる正解」はありません。
若い方に多い高濃度乳腺の特徴や、
検査方法の選び方、
ご家族のことや遺伝の可能性も含めて、
その方ごとに考えることが大切です。
迷ったとき、不安になったときは、
どうぞひとりで抱え込まずご相談ください。
