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「高濃度乳房」と言われたら? 自分の乳腺を知り、乳がん検診を正しく受けるために

[2026.06.10]

先日、「高濃度乳房(デンスブレスト)」について、国が検診受診者への通知を進める方針に転換したというニュースが報道されました。これは、乳がん経験者でもある参議院議員・生稲晃子氏が長年取り組んできた問題でもあります。

生稲氏は42歳の時に乳がんが見つかりましたが、マンモグラフィでは異常が分からず、超音波検査で発見された経験を公表されています。また、治療後になって初めて自分が「高濃度乳房」だったことを知り、「女性が自分の乳房の特徴を知らされていない現状」に疑問を感じ、この問題を国会でも繰り返し取り上げてきました。

今回のニュースは、「高濃度乳房なら全員エコー追加をしましょう」という単純な話ではありません。大切なのは、自分の乳房の特徴を知り、その上で検査を正しく受けることです。

高濃度乳房とは、乳房の中の“乳腺”が多く、マンモグラフィで白く濃く写るタイプの乳房のことです。日本人女性は比較的このタイプが多いとされています。高濃度乳房そのものは病気ではありませんし、「高濃度乳房=乳がん」というわけではありません。

ただし、乳腺も乳がんもマンモグラフィでは白く写るため、乳腺が濃いと病変が隠れてしまい、がんが見つかりにくくなることがあります。よく「雪山で白いウサギを探すような状態」と例えられます。

そのため、高濃度乳房の方では、超音波(エコー)検査を追加することで、マンモグラフィだけでは見つけにくい乳がんが見つかることがあります。当院でも、マンモグラフィの結果説明時に、高濃度乳房の方へはエコー検査の追加をご提案することがあります。

ただ、ここには現在の制度上の課題があります。高濃度乳房は病気ではないため、市民検診に追加して行うエコー検査は保険診療としては認められておらず、自費診療になります。マンモグラフィには自治体の補助がありますが、追加のエコー検査には補助がない自治体がほとんどです。そのため、「必要性は分かるけれど、費用面で追加を迷う」という方も少なくありません。

今回の国の方針転換をきっかけに、今後、高濃度乳房の方への超音波検査についても、何らかの支援や補助が広がっていけばよいなと感じています。

一方で、「高濃度乳房なら必ずエコーを追加すべき」という話でもありません。超音波検査を追加すると、乳がんを見つける感度は上がりますが、その反面、「良性なのに要精査になる」「経過観察が増える」といった特異度の低下も起こります。つまり、“見つける力”が上がる一方で、“異常っぽく見えるもの”も増えるのです。

だからこそ大切なのは、「検査を増やすこと」だけではなく、“検査結果を正しく判断できること”です。乳腺エコーは、機械があれば比較的どこでも行える検査ですが、検査する人や診断する人の経験によって精度に差が出やすい検査でもあります。

超音波検査を追加する場合には、乳腺を専門に診療している医療機関で相談することをおすすめします。当院では、乳腺専門医がマンモグラフィと超音波の両方を総合的に判断し、その方に合った検診方法をご提案しています。

「高濃度乳房と言われたけれど、どうしたらいい?」「毎年マンモグラフィだけで大丈夫?」「自分にはエコーも必要?」そんな疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。

乳がん検診で本当に大切なのは、“ただ検査を受けること”ではなく、自分の乳房の特徴を知り、自分に合った検診を正しく受けることだと思います。

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